ホールチーズを食べてみたい。

これが以前からの筆者の密かな夢だった。あのでっかいチーズの塊を、心ゆくまで味わってみたい。

しかしホールチーズの値段は思ったよりお高く、安くても送料を含めると5000円を超えてしまうものがほとんどだ。

「さすがにそこに5000円以上のお金を使うのもな~」となかなか手を出せずにいたのだが……ある日、ふと思いついたことがある。

溶かしたシュレッドチーズをケーキの型に入れて冷やしたら、ジェネリックホールチーズが作れるんじゃないだろうか?


・やってみた

気になったので、実際に確かめてみることにした。

今回使用するのは楽天市場で売っていた1kgのチェダーチーズ。価格は商品代の1728円と送料の1000円を合わせた合計2728円だった。

2728円も「なかなかだな……!」とは思うけれど、正規のホールチーズの値段と比べたらかわいいものだ。

チェダーチーズを選んだ理由は、チーズの中でも溶けやすい種類だから。あと単純に味が好き。


まずはチーズを液体にしたいんだけど……このタイプのチーズって、多分そのまま加熱してもトロトロにはならないよなぁ。


そう思って調べてみたところ、チーズを滑らかな液体にしたい時には牛乳を加えて加熱するといいらしい。


なるほどね。指示通りに牛乳を入れて、電子レンジのスイッチを入れる。うまくいきますように~!


途中で塊になっている部分をかき混ぜたりしながら、しばらく加熱を続けていくと……


おぉ……!!


めちゃくちゃサラサラだ~! 無事にイメージしていたとおりの液体を作ることができた。よし、あとはこれをクッキングシートを敷いたケーキの型に流し込めば…………!!


ちょっと待って全然足りない。

「さすがに1kg全部は入りきらないかな」と思ってチーズの量を調節していたのだが、この型の容量を甘く見すぎていたようだ。


もしかして1kg全量いけるのか……!? ということで袋に残っているチーズを全て溶かし、型の中に追加投入。今度はぴったり収まった。

ずっしりと重たくなった型を冷蔵庫の中に入れる。そのまま半日ほど放置し、出来上がったものが……こちら!!



────いいのでは!?


・食べてみた

チーズの塊は、型から取り出してもしっかりと綺麗な丸い形をキープしている。これはかなりホールチーズに近い仕上がりと言っていいんじゃないか……!? 

だがしかし、問題は味だ。一度溶かしたものだから、もしかしたら食感も変わってしまっているかもしれない。


1kgものチーズを無駄にしないためにも、ちゃんと食べられる仕上がりになっていてほしい──! ドキドキしながらひとかけらを口の中に入れてみると……


なんだかとっても崩れやすい。チーズというよりは しっとりとしたタルトみたいな食感だ。

気をつけないと服の上にこぼしてしまいそうになる。「こういうものだ」と慣れるまでは、少し違和感があった。

ホールチーズはすりおろし器などで削って使うこともあるけれど、このチーズではちょっと難しそう。


とはいえ、味はチェダーチーズそのもの!! 濃厚なチーズの香りとまろやかな旨味を存分に堪能できる。特に変な味や香りもなかった。

そのまま食べるだけでなく、他の料理のトッピングとして使ってみてもおいしかった。

卵焼きに追加してみたところ、既に一度溶かしてしまったものだからなのか加熱してもほとんど とろけなかったけれど、チェダーチーズの味はしっかり感じることができた

しばらくの間、このチーズが食べ放題だと考えるとウキウキが止まらない。満足するまでたっぷり味わうぞ~~~!!


・勉強になった

なお、このあと何か間違ったことをしていないかなどを調べていたところ、初めて知った情報があるので皆さんにも共有させていただきたい。

チーズの種類には牛乳から作った「ナチュラルチーズ」と、ナチュラルチーズをさらに加工した「プロセスチーズ」がある。

「QBB」などのチーズを作っている「六甲バター株式会社」によると、プロセスチーズは

①ナチュラルチーズを細かく砕く
加熱して溶かし、乳化剤を混ぜて型に入れる
冷やして固める

といった方法で製造しているらしい。


…………これ、ほぼ今回筆者がやってみた方法ですね!? 

意図せずプロセスチーズを作っていたことに驚いたけど、おかげでまた一つ賢くなることができた。

本物のホールチーズではないけど、だいぶ満足度が高めだった手作りホールチーズ。チーズを心行くまで楽しみたい時には、作ってみるのもアリかもしれない。

参考リンク:楽天市場六甲バター株式会社
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.

▼追加投入する用のチーズを溶かしている間、ケーキ用の蓋で第一陣を保護していた時の写真。ケーキにしか見えない